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当院は、「鳥取県肝疾患専門医療機関」「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業指定医療機関」です。

肝臓とは

肝臓は、約1.5 kgの重さで体重の約2%を占める大きな臓器です。おなかの右上で肋骨に守られています。肝臓の3つの大きなはたらきは、からだに必要な蛋白質の合成・栄養の貯蔵、くすりやアルコールなどの有害物質の解毒・分解、食べ物の消化に必要な胆汁の合成・分泌です。胃が“おしゃべりな臓器”と言われ症状が現れやすいのと対照的に、肝臓は“沈黙の臓器”と言われ異常があっても症状が現れにくいため、ふだんから健康診断を定期的に受けて肝臓病の早期発見に努め、食事・飲酒・生活習慣に気を付けながら肝臓病の予防に努めることが大切です。

主な肝臓病

かつて肝臓病の主な原因であったC型肝炎ウイルス(HCV)は、2014年秋に副作用が少なく治癒率も高い飲み薬(直接作用型抗ウイルス剤、DAA)が登場してからは多くのHCV患者様が治療に成功され、新規のHCV陽性患者様は減少しています。しかしながら、HCV陽性であっても通院をされていない未治療の患者様や、HCV治療後に通院をされなくなった患者様もおられます。このような患者様は、無症状のまま気付かない間に肝硬変や肝細胞がんに進行する場合がありますので、定期的な通院が必要です。

B型肝炎ウイルス(HBV)は、感染していても肝障害を起こさない非活動性HBVキャリアの患者様が約90%を占めますが、肝細胞がんの危険性が約500人に1人の確率と低いながらもありますので、腹部超音波検査などによる定期検査が必要です。また、肝臓病以外の病気のために抗がん剤や免疫抑制剤を使用される場合にはHBVの発症を飲み薬(核酸アナログ製剤)で予防する必要があります。肝炎を発症している活動性HBVの患者様(慢性肝炎、肝硬変)は治療薬として核酸アナログ製剤を服用し、ウイルス量を下げることによって肝硬変や肝細胞がんを予防することができます。

昭和23年から昭和63年までの間に受けた集団予防接種等の際に、注射器が連続使用されたことが原因でHBVに持続感染した患者様には、B型肝炎訴訟の手続き後に国から給付金が支給される場合があります。法律事務所から入手された診断書の記載を希望される場合には、日程調整の上で対応させていただきますので、ご連絡下さい。

なお、HBVとHCV治療薬は高額ですが、患者様の経済的負担を軽くするため肝炎治療医療費助成制度がありますので、その申請に必要な手続きに関してご案内をさせていただきます。さらに、HBV・HCVが原因で重症の肝硬変や肝細胞がんを発症された患者様は、肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の対象となる場合があります。当院は本事業の指定医療機関となっていますので、該当する可能性がある患者様に対してお声がけをさせていただきます。

様々な病気で医療機関を受診された場合、手術前や入院時に各診療科の担当医師がHBVとHCVの肝炎ウイルス検査を行うことがあります。この院内肝炎ウイルス検査でHBV・HCVが陽性の結果だった場合、本来は各診療科の担当医師が責任をもって肝臓内科へ紹介するべきですが、肝臓を専門としない診療科の医師は残念ながら肝炎ウイルス陽性結果を見過ごしている場合があります。これを防止するため、当院の肝炎医療コーディネーター資格を有する医師・看護師・臨床検査技師が、担当医師に代わって肝臓内科受診への橋渡しをさせていただきます。

生活習慣病関連の肝臓病として、脂肪肝アルコール性肝臓病があります。まだ特効薬はないため、管理栄養士による栄養指導や患者様自身による生活習慣の改善が治療の中心となりますが、指導をさせていただきます。

 自己免疫が原因と考えられる自己免疫性肝炎(AIH)原発性胆汁性胆管炎(PBC)の患者様、くすりやサプリメントが原因となる薬物性肝障害、進行した慢性肝臓病である肝硬変の診断・治療も行っています。

肝細胞がんの診断は腹部超音波検査が基本ですが、当院ではMRI撮影および放射線科医師による読影が可能ですので、医師が必要と判断した場合には、より精密なEOB-MRI(造影剤を用いたMRI)を行うことが可能です。肝細胞がんと診断された患者様の治療に関しては、鳥取大学医学府附属病院などの高次医療機関と連携体制を取っていますので、紹介をさせていただきます。

医師紹介

  • 岡野 淳一(おかの じゅんいち)

    役職
    内科部長 兼 地域医療総合支援センター長
    資格・専門
    • 鳥取大学医学部臨床教授・連携診療教授
    • 医学博士
    • 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・中国支部評議員
    • 日本肝臓学会 専門医・西部会評議員・指導医
    • 日本消化器病学会 専門医・評議員・指導医

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