科の特徴

当科では鳥取大学医学部産婦人科からの派遣医師による外来診療(一般外来・検診)を週3日(月曜日・水曜日・金曜日)午前中に行っております。婦人科診療は婦人科良性疾患(子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣のう腫など)、婦人科悪性疾患(子宮がん、卵巣がんなど)および更年期症状を含む生殖内分泌疾患を大きな柱としております。外来担当医師は各疾患に対して患者さんとよく相談させて頂き最適かつ最良の治療法を提案させて頂くことに努めております。手術や入院加療を必要とする場合には、症例に応じて、鳥取大学医学部附属病院、博愛病院および山陰労災病院に紹介をさせて頂いております。

産科診療に関しては、常勤医師不在であることから、分娩は取り扱っておらず、責任診療の立場から妊婦検診も行っておりません。しかしながら、予定日算定までの妊娠初期(妊娠8-10週)までの外来診療は行っており、予定日算出までに希望する分娩施設を決めて頂き、各施設に紹介させて頂いております。つわり(妊娠悪阻)、妊娠初期の出血や下腹痛(切迫流産兆候)あるいは妊娠中の感冒に対する投薬などは、一般外来において出来る限りの対応に努めさせて頂きます。

主な治療対象(疾患名など)

婦人科悪性腫瘍

婦人科悪性腫瘍の治療は、原則として鳥取大学医学部附属病院で行います。治療までに当院で出来る手術前検査は当院で速やかに行い、大学病院に紹介します。

●子宮頸がん

■症状

初期の子宮頸がんでは自覚症状を認めないことが多いですが、不正出血(月経以外の出血)、特に接触時出血(性交時出血)を認めることがあります。おりもの(帯下)の増量を自覚することもあります。進行した状態になると、下腹痛、腰痛、下肢のむくみ、血尿、血便、排尿障害などを認めることがあります。

子宮がん検診で行う子宮頸部細胞診により初期の子宮頸がんあるいは前がん病変(異形成)で発見することができ、子宮一部の摘出(子宮頸部円錐切除術)で治療を完結できることもあります。

●子宮体がん

■症状

多くの子宮体がんで不正出血(月経以外の出血)がみられます。しかしながら、月経不順による出血と誤解する場合がありますので、2週間以上持続する出血を認めた場合には産婦人科に御相談下さい。また、水っぽいおりもの(帯下)や血液が混じったおりもの(帯下)や下腹痛を認めることもあります。

●卵巣がん

■症状

腹部膨満感、腹囲の急激な増大、下腹部痛、食事が進まない、排便障害(便秘や下痢)および排尿困難などを自覚された場合には、卵巣がんの可能性もありますので、産婦人科に相談下さい。

婦人科良性疾患

●子宮筋腫

経膣超音波検査、骨盤MRI検査の画像

  • 子宮にできる良性腫瘍です。
  • 女性にできる良性腫瘍の中で最も頻度が高く、閉経前女性の20~50%に存在します。
  • 超音波検査で子宮に黒く丸い塊があれば、ほとんどの場合は子宮筋腫です。
  • 悪性腫瘍の疑いがないか、大きさ、個数などをきちんと調べるためには、MRI検査が必要です。
■症状
  • 過多月経(貧血)、不正性器出血、疼痛、下腹部腫瘤感、周囲臓器の圧迫症状(頻尿、便秘、腰痛)、不妊など ですが、多くの場合は無症状です。
  • 無症状の場合は治療の必要がありません。
  • 日常生活に支障を及ぼす症状があるとき、 子宮が大きく内臓に悪影響があるとき 、妊娠の希望があって妊娠に悪影響があるとき、悪性腫瘍(肉腫)が疑われるときは、治療する必要があります。

●子宮内膜症

卵巣チョコレート囊胞のイラスト

  • 子宮内膜に類似した組織が子宮内腔以外で増殖する病気です。
  •  生殖年齢女性の10%に存在すると言われ、最近増加傾向です。
  • 卵巣にできる子宮内膜症は、チョコレート囊胞と言われ、超音波検査で卵巣に血液の溜まった袋がみえます。
  • 卵巣チョコレート囊胞の診断にはMRI 検査が必要です。
■症状
  • 主な症状は痛み(月経痛、下腹痛、肛門痛、排便痛、性交痛など)と不妊です。
  •  卵巣チョコレート囊胞は悪性化する可能性があります。

●良性卵巣腫瘍

良性卵巣腫瘍のMRI画像

  • 嚢胞性腫瘍(卵巣嚢腫)と充実性腫瘍に分けられます。
  • 超音波検査で卵巣が腫れてみえます。
  • 悪性腫瘍の疑いがないかどうかを調べるためには、MRI検査が必要です。
  • 手術で摘出して病理組織検査をしなければ悪性腫瘍を完全に否定することができません。
  • 茎捻転や破裂により痛くなる可能性があります。
  • 5cm以上の卵巣嚢腫、充実性腫瘍は手術が必要となります。
  • 悪性を疑う所見がなければ、(病院によりますが)ほとんどの場合腹腔鏡手術が可能です。
  • 卵巣嚢腫の場合、閉経前であれば嚢腫だけを摘出して卵巣を温存することができます。

女性ヘルスケア

●子宮脱

加齢によって骨盤の筋肉や子宮を支える靭帯が緩み、子宮が下がります。ひどくなると、子宮の一部~全部、膀胱、直腸が腟から脱出します。

■症状
  • 違和感、性器出血、排尿障害などです。
  • 完全に子宮が脱出すると、尿が全くでなくなり、腎臓の働きに悪影響を及ぼすことがあります。
  • 内診すればすぐに診断できます。
  • 症状が軽い場合は、骨盤底筋体操が効果的です。
  • 日常生活に支障を及ぼす症状があれば、治療する必要があります。

●月経不順・続発性無月経

  • ホルモン分泌の異常による排卵障害が原因です。
  • 血液検査(ホルモン値検査)や超音波検査などにより、原因が分かります。
  • ストレスなどが原因になることがあり、自然によくなることもあります。

●更年期障害

■症状

更年期障害でみられる症状(更年期症状)は、下記のごとく、多種多様です。

  • 血管運動神経系:ほてり・のぼせ、発汗、冷え、動悸、息切れ、むくみ
  • 精神神経系:頭痛、めまい、不眠、不安感、いらいら、憂鬱、うつ状態、耳鳴り、立ちくらみ
  • 運動器官系:腰痛、肩こり、関節痛、筋肉痛、疲れやすい
  • 消化器系:食欲不振、吐き気、便秘、下痢、のどの渇き、口臭、胃もたれ、胸やけ
  • 泌尿器系:頻尿、残尿感、排尿痛、血尿、尿失禁
  • 生殖器系:月経異常、腟乾燥感、性交痛、性欲低下
  • 知覚系:しびれ、知覚鈍麻・過敏、蟻走感(蟻が体を這っているような感覚)
  • 皮膚系:皮膚の乾燥、かゆみ、しわ、くすみ

主な治療内容

婦人科悪性腫瘍

婦人科悪性腫瘍の治療は、原則として鳥取大学医学部附属病院で行います。治療までに当院で出来る手術前検査は当院で速やかに行い、大学病院に紹介します。

●子宮頸がん

子宮頸がんの治療は手術療法、化学療法および放射線療法を進行程度、年齢により適宜選択します。

  • IA期―IIB期:手術療法あるいは放射線療法を選択します。IA期およびIB1期で妊娠の可能性を希望される場合、症例によっては子宮温存手術(広汎子宮頸部切除術)を選択します。手術療法を選択された場合、術後組織検査結果により、術後補助療法として放射線療法あるいは化学療法を追加することがあります。
  • III期―IVA期:放射線療法を選択します。
  • IVB期:原則として、化学療法を選択します。

●子宮体がん

  • I-III期:原則として、手術療法を選択します。IA期では症例により、「腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術」を保険診療として選択することが出来ます。術後組織検査結果により、術後補助療法として化学療法を追加することがあります。
  • IV期:原則として、化学療法を選択します。出血が多い場合、子宮摘出のみ施行することもあります。

●卵巣がん

手術療法と化学療法を組み合わせた治療を行います。症例により、診断を確定した後に化学療法を先行し、手術療法を行い、術後化学療法を追加します。

婦人科良性疾患

●子宮筋腫

  • 治療には、薬物療法(ホルモン療法)と手術療法があります。
  • 薬物療法(ホルモン療法)によって症状は軽くなりますが、根治はできません。子宮筋腫による症状は、閉経すれば改善することが多いので、閉経が近い場合は、ホルモン療法を行って閉経を待つことができます。
  • 手術療法には、子宮を全て摘出する方法と筋腫だけを摘出して子宮を温存する方法があります。筋腫の大きさ、数、位置によって、開腹手術、腹腔鏡手術、子宮鏡手術のいずれかを行います。腹腔鏡手術はお腹を切らずに小さな穴だけで行う手術ですが、病院によっては、子宮筋腫のほとんどは、腹腔鏡手術によって治療できます。

●子宮内膜症

  • 痛みがひどい場合、薬物療法(ホルモン療法)あるいは手術療法(腹腔鏡手術)が治療の選択肢となります。妊娠の希望がある場合、ホルモン療法は排卵を抑えるため、できません。
  • 不妊の場合、手術療法(腹腔鏡手術)か不妊治療(体外受精を含む)が治療の選択肢となります。
  • 卵巣チョコレート囊胞の悪性化を予防するためには手術療法(腹腔鏡手術)が必要です。
  • 子宮内膜症は、人によって適した治療が異なります。

女性ヘルスケア

●子宮脱

  • 主な治療は手術です。一般的には、経腟的に子宮を摘出して腟壁を形成する手術を行います。
  • 手術を希望しない場合、高齢の場合は、腟内にリングを挿入して子宮が下がらないようにする方法があります。リングによって腟に傷ができることがあり、定期的な通院が必要です。

●月経不順・続発性無月経

  • 治療が必要な場合、ホルモン療法を行います。
  • 多囊胞性卵巣症候群では、長期的な治療が必要となることが多くなります。
  • 排卵障害を放置すると、ホルモン療法の効果が出にくくなることがあります。また、将来的に子宮体癌になる確率が高くなる恐れがあります。

●更年期障害など

上記症状の原因となる基礎疾患が存在するか否かをきちんと調べ、安易に更年期症状として対応しないことが肝要です。ホルモン分泌の乱れに対して体や心が敏感に反応する人とそれほどでもない人がいるので、症状の強さにもかなり個人差が見られ、治療の適応は患者さんと相談して決定します。治療としてはホルモン補充療法や漢方療法による症状緩和があります。

診療実績・活動実績

当科の診療は原則として外来診療になります。

患者さんとともに、適切な診断・治療方針を立案し、手術療法など入院加療を要する診療に関しては、鳥取大学医学部附属病院をはじめとする周辺産婦人科診療機関との連携を深めて円滑な診療を提供できるように努めております。さらに、年間約1,200件の子宮がん検診を担当させて頂き、治療を要する婦人科疾患(良性・悪性)に対する速やかな対応に努めさせて頂いております。

その他

原則として、鳥取大学医学部附属病院産婦人科からの診療応援による外来診療を提供させて頂いております。したがって、最新の診療情報に加え、それぞれの患者さんに合った治療選択を共に考えることが出来ます。さらに、大学病院との連携も取りやすく、効率的な治療を受けることも可能となります。お気軽にご相談下さい。