漢方薬は、多くは植物に、一部は動物や鉱物に由来する天然の生薬で構成され、その組み合わせにより全体としての方向性をもつ薬です。病名に対応するのではなく、全身的な状態に応じて処方が決まるため、同じ症状であっても人によって薬が異なりますし、同じ薬を正反対ともいえる病態、例えば下痢にも便秘にも、血圧が高いときにも低いときにも処方することがあります。

対象とする疾患は、慢性的な頭痛や胃腸の不調、動悸、めまい、ほてりや冷え、全身倦怠感、四肢の痛み、湿疹など様々です。長期的に服用する薬ばかりではなく、風邪、こむら返り、しゃっくりなどの急性期に飲んですぐに効かせる薬もあります。妊娠中や授乳中で西洋薬が使いにくい場合にも向いているでしょう。

診察では、舌や脈、腹部、皮膚などをみていきます。剤形としては保険の適用されるエキス剤またはカプセル剤を使用します。また、症状によっては鍼治療(鍉鍼:刺さずに当てる鍼、あるいは粒鍼:小さな粒を貼る鍼、いずれも痛くありません)を併せて行います。